タイプパラメータ

• タイプパラメータは、異なったタイプに対して、同じコード断片を再利用する 一般的な技術である。

• サブタイプと共同して、タイプパラメータは、contravariance に対する 型づけの難しさを救済するために使われうる。以下のオブジェクトタイプを考える。 ObjectType Person is
    ...
    method eat(food:Food);
  end;
  ObjectType Vegetarian is
    ...
    method eat(food:Vegetables);
  end;
  

• Vegetarian は person である。そして $Vegetarian<:Person$ (逆は成立しない)を期待する。しかし、この関係は eat メソッドの引数 の contravariance のために、成立しない。もし、間違って $Vegetarian<:Person$ を仮定すると、$Vegetarian$ は $Person$ に subsumed され、そして 肉を食べることができる。

• オブジェクトタイプを $food$ のタイプをパラメータ化するタイプ演算子 (タイプからタイプへの関数) に変換することにより vegetarians と persons の間の正しい subsumption を得ることができる。 ObjectOperator PersonEating[F Food] is
    ...
    method eat(food:F);
  end;
  ObjectOperator VegetarianEating[FVegetables] is
    ...
    method eat(food:F);
  end;
  

• このメカニズムを bounded type parameterization という ¹

• 変数 $F$ はタイプパラメータで、一つのタイプを instantiate することができる。$F<:Vegetables$ は $Vegetables$ のサブタイプに $F$ を限定する。そして $VegetarianEating[Vegetables]$ はタイプで、逆に、 $VegetarianEating[Food]$ は well-formed ではない。タイプ $VegetarianEating[Vegetables]$ は $VegetarianEating$ の一つのインスタンスで、タイプ $Vegetarian$ に等しい。

• $PersonEating$ のような演算子には要素はない。ある $F$ に対しての タイプ $PersonEating[F]$ に要素がある(意味を為す)。それゆえ $VegetarianEating$ と $PersionEating$ には包含関係がない。しかし、
  
  $$\hbox{任意の}F<:Vegetables,$$
  
  
  
  
  $$VegetarianEating[F]<:PersionEating[F]$$
  
  
  である。

• 任意の $F<:Vegetables$ に対して、サブタイピングの規則により 2 つのインスタンスは含まれる。よって、
  
  $$Vegetarian=VegetarianEating[Vegetables]<:$$
  
  
  
  
  $$PersonEating[Vegetables]$$
  
  
  である。$Vegetarian$ は person であり、vegetables のみ食べることができる。

• bounded type parameters に関係して bounded abstract types がある²

• bounded abstract types は、$Person$ のサブタイプとして $Vegetarian$ を生成する問題の解を与える。以下の例、 ObjectType Person is
    type ;
    ...
    var lunch: F;
    method eat(food: F);
  end;
  ObjectType Vegetarian is
    type ;
    ...
    var lunch: F;
    method eat(food: F);
  end;
  

• $Person$ の $F<:Food$ の意味は 「$Person$ は $Food$ のある食べ物を 食べることができるが、ちょうどどの食べ物か、はわからない」ことを示す。 $lunch$ attribute は、その食べ物を示す。

• $Food$ のサブタイプである特定のタイプを選び(例えば $F = Dessert$)、 $lunch$ フィールドに dessert をセットし、タイプ $Dessert$ のパラメータ を使ったメソッドを実現する。結果としてオブジェクトは $Person$ (特定の $F$ を忘れて)となる。

• よって $Vegetarian<:Person$ が成立する。vegetarian は、ある特定の タイプを持った $lunch(F<:Vegatables)$ を (安全に) 食べることができる。 このアプローチの制限は、$Person$ がタイプ $F$ のコンポーネントとして、 ある特定の食べ物だけ食べることができることである。