多相型
〜〜 概要 〜〜

児玉靖司
法政大学経営学部

• Tiger で書いた以下のプログラムを考える．

  
  type elem=int
  type intlist={head:elem,tail:intlist}
  function append(a:intlist,b:intlist):intlist=
    if a=nil then b else
    intlist(head=a.head,tail=append(a.tail,b))
  

• elem の型を string や tree にした場合でも， コードの違いはないであろう． append のような関数は，すべての種類のリストで 機能することができる．
• 異なった型の引数で機能することができる関数を 多相(ギリシャ語の many+shape) という．2 つの主な多相が ある．
  1. パラメトリック多相性
     引数の型に関係なく同じアルゴリズムの関数を パラメトリック多相という． Ada や Modula-3 の generic メカニズム，C++ のテンプレート， ML の型スキーマは，パラメトリック多相の例である．
  2. オーバーロード(overloading)
     引数の型に依存して，異なったアルゴリズムを提供した場合，関数の識別子 は，オーバーロードされたという．
• 例えば，ほとんどの言語では + はオーバーロードされる． 整数の加算や小数点数の加算が許される．
• 多くの言語，Ada，C++ と Java は，プログラマが自由にオーバーロー ド関数を作成することができる．

• これらの 2 つの多相性は，全く異なるものであり，ほとんど関係もな く，異なった実現を必要とする．