論理式自身をコンピュータで扱いトートロジーかチェックしたり、さまざま な論理を証明するために論理式自身をもう少し,正確に定義する必要がある。 またコンピュータの中で,常に真理表を書くわけにもいかない。 ここではもう少し正確に定義してみよう。
真理表を書くことによりわかったのは,
などである.これらを考慮して,論理式を定義してみよう.
論理式は,変数(正確には,命題変数という),論理記号および,括弧 (,) から成り立つ.論理記号は,¬,⊃ のみである (他の論理記号は,これらの論理記号を使って表すことができる). また,この制限にかなった論理式を 素論理式 という. 素論理式の集合をよく P で表す.
そのため,以下では変数(命題変数)を p,q,r など小文字で表す.
これをより簡単に表すと,
P ::= ¬P || P ⊃ P || ( P )
となる.このように,文法を表すことを BNF 形式 という.
わかりやすい方のみを覚えればよい.また,よく論理式を総称して, α,β で表す.例えば,p ⊃ q を α で,Q を βで表して,α ∪ β と書いたりする.そのため,α,βを メタ変数 という.
これだけの定義である.この論理式に,真「T」,偽「F」などの, 値を使って,説明したり,P に「太郎」とか,q を割り当てて, 説明するとき,その割り当てを,解釈 という. ここで,重要なのは,このような解釈を与えなくても, 絶対的に論理式は決まった形があり,それらを,無味乾燥した形 で表現していることである.例えば,何が真「T」とか,偽「F」とか 与えなくても,p ⊃ ¬¬p,p ⊃ p は,絶対的に成り立つとすることができる.
以上のような,考察から,コンピュータで論理式を処理するとき, いちいち,真「T」,偽「F」とか,値を代入したりして,いわゆる「解釈」 を与えなくても,無味乾燥した式の変形で,結果として,トートロジーを チャックすることができる.
実は,元となるトートロジーを使って変形を行い,論理式がトートロジー であるかどうかをチェックすることができる.この元となるトートロジー を,絶対的,普遍的な論理式という意味で公理 といい,その「公理」 を使って,変形することを推論 という.さらに,ある論理式が, トートロジーかどうかをチェックすることを,証明という. 我々が,よく使う,証明というのは,ほとんどを論理式で表現することが でき,ここでいう,推論を行って,トートロジーかどうか,「正しい」かどうか, をチェックする処理と同じである.人間は,無意識のうちに, コンピュータと同じ推論を行っている.
では,元となる論理式(トートロジー) である公理を示そう.以下の 3 つの形をしている論理式である.
ここで,α,β,γは,論理式を表している(メタ変数) なので,上の 形をした論理式は,無限にあることに注意しよう.
論理式 α がトートロジーで,α ⊃ β がトートロジーであれば, β もトートロジーである.この処理を モーダス・ポーネンス という.
論理式の集合 G を,公理か,